犬は物理的に口から人間の言葉を話さない。
科学的には、犬は人間の言葉を理解しているわけでなく、言葉の音の強弱や、話す人間の感情や様子を感じて取って、過去の経験とも照らし合わせて反応しているだけだ、という見解があるけれども、私は犬がわかっている単語はいっぱいあると思うし、結構長い文章を話しても理解している時もあると感じている。一方全く理解していない時も多々あると思うし、意図的に無視しているというか、わかろうとしていない時もあるし、言葉の意味より私が怒って醸し出している態度や声に単に反応してびびっているだけだな、と思う時もある。
アニマルコミュニケーションで心の中で話しかける時はイメージも交えて人間の言葉で話しかけている。
返ってくる答えは映像や色や感触、音、イメージ、印象などが多いが人間のセリフみたいな時もある。
だからアニマルコミュニケーションの観点から言えば、動物は人間の言葉がわかると思う。
また、アニマルコミュニケーションで実際に声に出して話しかけた時でも、口から出る言葉にもエネルギーが乗っかっていて、それも受け取れていると思う。そして、物理的にまばたきしたり、背を向けたり、擦り寄ったり尻尾を振ったりため息をついたりして答えをくれる。
なので私はどの説も合っていて、現実だと思っている。
ぺらぺら説明してもてーんでわかってない時と、静かに深~い会話が成立している場合があるのが現実、って感じ。
******
犬は、あんなに豊かな感情や意思を持っているのに、ぺらぺらしゃべらないでよくやってられるな、と思う時がある。
通したい意思があるのに、シグナルを出しているのに、人間が気づいてくれない。
これは結構しんどくて、わかってもらおうと更に行動を強める時もあるし、諦めたり、ストレスとして溜め込んでしまう時もあると思う。ひどいとそれで体調を崩したり病気になることもあるだろう。
だからやっぱり人間もよく犬を見て気づいてあげないといけないんだね。
日常の他のことに気を取られて、ついさぼってしまうね。
一方、犬は動物的な行動としては言葉を発しないし、日常こまごまとやることもないから(笑)、一緒に暮らす人間のことをすごーく観察していると思う。
人間が何をしているのか、次どうしようとしているのか、
今どんな気分でどんな感情なのか、
言葉や理屈抜きで、感じ取ろう、知ろう、と本能でもってやっていると思われる。
******
私は時々、人間やっているのに疲れる時がある。
言葉を使ってぺらぺらしゃべりあって、
時に傷つき、傷つけ、理解してもらえず、理解できず。
考え過ぎたり、不安になったり、無神経になっていたり。
そういう時は、「アー、犬になりたい、しゃべりたくない」と思ってしまう。
ある日、私はなんとなく心にさざ波が立っていた。
うう、疲れる。人間、疲れる。この気持ち、疲れる。
ふと、犬のベッドで休んでいるとわに目をやると、あごをベッドのへりにのせたまま、じっと私を観察していた。
私は、自然と心から
「いてくれてありがとう」
「うちに来てくれてありがとう」
と言う気持ちが湧き上がってきて、実際に口に出していた。
正直、とわに対してここまでこういった感情が湧くことが今までなかった気がする。
とわは他の犬に比べるとちょっと大変なところがあって、私は必死だったから。
(今も試行錯誤中ではあるが)
他の犬たちには容易く言葉にできていたのに、とわにはなかなかできなかった。
あなたのことは大変だ、という気持ちの方が先立っていた。
とわは、私の言葉を聞いて、ゆっくり一回まばたきをした。
通じた。
ゆっくり一回まばたきは
「うん、わかっているよ」
という意味。
私は、ずっととわに見てもらっていることがとてもうれしく感じられた。
なんなんでしょう、この感覚。
ほっと心をほぐすような温かみと、常にそばにいて見てくれていることがありがたくて。
そうしてやっと、私はさざ波の原因とか、なぜ疲れるのかに向き合えて、どうしたらいいのかちょっと気づくことができる。
それは、とわやそらがそばでじっと私を見ていてくれるからこそできることなんだ、と思った。
私はこういう静かなやりとりが犬とも自分ともできた時、犬と暮らすことは素晴らしい、と感じるのだ。
犬とは限らず、他の動物さんとでも、ね。
これは犬のベッドじゃなくて人のソファと枕 |