2019年の11月くらいにしたコミュニケーションなので、そらが1歳になったばかりの頃のことある。
朝は大体、夫がそらと散歩に連れて行ってくれるのだが、その日の朝の散歩で珍しくピンシャーに吠えたという。
どうして吠えたのかそらに聞いてみると、
『教えない』
と言った。
私「どうして?教えてよ」(これ、今思うとずうずうしい聞き方)
そら『言いたくない』
私「チビって言われたのかな?」(ピンシャーもチビだけど足が長くて背が高いから)
「ふわふわだからなんか言われた?」(ピンシャーは短毛種でするっとしてるから)
「口の周りが黒いことでも言われた?」(私、しつこいな)
そら『容姿のことを言われたんじゃないよ』(そら氏、イライラ)
どうも
「女の子みたい」「女の子の匂いがする」
と言われたらしい。
私にはそらの匂いは乾いていて草っぽくて動物っぽくて男っぽく感じるのだけど?
私「…睾丸がないね、って言われたのかな?」
と聞くとそらはじっと目を見てきた。
そのようだ。
去勢すると、男性ホルモンの量が変わって、体から発っせられる匂いにも変化が起き、動物にはそれがわかる得るだろう。
そして、そらはそのことでムッとしてプライドが傷つき、文句を言ったのだろう。
でも、そのことを私にぺらぺら喋る気にはならなかったのだろう。
私「睾丸がなくてもそらは立派なかっこいい男だと思うよ。ママはそらを男としても魅力的に思うし、頼りにしているよ。そらの全部が大好きだよ」
と伝えると、またじっと私の目を見た。
私「あ、でも昨日の夜みたいにびゃうびゃう吠えるのは困るなー」
そら『全部好きって言ったじゃないか!』
私「ごめんごめん 笑 好きです、全部」
私「睾丸を取ったのは人間の勝手だった、すごく辛かったよね、本当にごめんね。私たちととわと一緒に暮らす上で必要だったんだ。すごく嫌だったよね。人間の都合で申し訳ない。自然のことではないよね。なぜ取ったかというと、そらに一生楽な気分でいてほしかったからだよ」
と言うと
『楽?』
とまたじっと私を見た。
「睾丸があると発情の時期にとわや他の女の子の犬が気になってしょうがなくなって、子供作りたくても作れなくて、イライラしてしまうと思うんだよ。それはそれで辛いと思う。そう言うことがないように睾丸を取ったの。するとイライラしないでいられると思うの。睾丸を取った犬は他にもたくさんいるんだよ」
と言うと
『フーン、そうなの』
と他を向き、他へ興味を移した。
フレンドリーな性格の犬でも怒ったり文句を言ったりすることはもちろんある。
また、成長につれて、だんだんと自我も芽生えてくる。
容姿のことを言及したりされたりすることは動物どうしでもある。
去勢しているかしていないかも犬どうしでからかったり恥じたりするケースがある。
犬の去勢避妊問題については、私はした方がいい理由も理解できるし、しないで自然のままでいられたらいいとも思い、いつもすごく悩む。
しないでいると、雄犬が毎日とても発情して雌犬がとても嫌がって家の中がしっちゃかめっちゃかな雰囲気になるのは、先代犬の未去勢の風太と未避妊の琴で経験した。
結局風太は10歳で、琴は2歳で手術をした。
風太のことは、去勢するつもりがなかったのが、琴を迎えて事情が変わった、という感じだった。
手術前に風太とふたりで過ごした、しんとした時間を今も忘れない。
私はやはり申し訳なさや悲しさも抱いたし、風太もこれから起きることをなんとなく察していたように感じた。
この頃はまだアニマルコミュニケーションなんて知らなかったけれど、説明をし、どれだけだいじに思っているか伝え、お互いの気持ちを察し合っていたように思う。
だいじな風太の肉体から離れてしまうだいじな部分を慈しんだ。
術後は、10年で培った性格が変わるわけではなく、発情する反応もすぐには消えなかったので急激な変化は感じなくて悲しい思いは引きずらなかったけれども。
琴には、後にアニマルコミュニケーションを知って自分でもやるようになった時、
『完全な体でいたかった』
というメッセージを受け取った。衝撃を受けた。
それで、その後、ハイヤーセルフに聞いて、ヒーリングで古いエネルギーを抜き、あたたかな真っ白な光で満たすイメージでヒーリングをした。
そんなことがあったので、子犬だったそらととわを避妊去勢手術するかどうか逡巡した。
それでもメリットの方を採って手術を決断したわけだ。
去勢避妊手術というのは、“人間が動物を飼う”から起きる不自然なことだと思う。
動物からしたら迷惑極まりない、人間の身勝手で横暴な行為だろう。
私はその考えをゼロにしないまま、手術を決断する。
一生忘れてはならないことは、やはり、去勢避妊手術で動物の体と心を傷つけてはいる、ということだ。
それゆえに彼らも感じていることがある。
その繊細な部分は絶対に忘れてはならない。
無理に掘り返す必要はない。触れられたくない場合もあるからだ。
でも人間は、動物たちに謝ってもいいはずだ。
誠心誠意謝って、なぜそうしたのかを説明すれば、それは飼い主なりに一生懸命考えたことであり、愛をも含む、ということが伝わって、寛大な犬たちは許してくれる。受け入れてくれる。
だからと言って、ホント、忘れてはならないのだ。
雄として生まれ、雌として生まれ、健康な体にメスを入れたこと。
人間はジェンダーレスな時代になってきたとはいえ、雄犬は雄としての魅力や役割やプライドがあるし、雌犬も然り、であること。
犬が、人間を許し、受け入れてくれたこと。
あと、そらくんはかっこいいこと。
おいら、かっこいいすか? |